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2012/09/26

私の半生 ⑮ 自分で作った机と椅子に愛着

 私は「わが社で作った物でなければ直しません」と、きっぱり断った。が、児童が気の毒だと思い直して修繕することにした。
 学校としては結果的に高い物になってしまったようで、以後私のところで作るようになった。
 その後、机や椅子を納めているうちに、教育の一環として、子どもたちが机と椅子を作ればいいのではないかと考えるようになった。それには私のほうでデザインしてキットを作り、組み立てられるようにする。そして机や椅子を友達同士助け合って完成させるのである。
 果たして学校側が子どもたち自身の製作を受け入れてくれるかどうか心配だったが、実行してみると、子どもたちは意気揚々として作り始めた。昨日までけんかをしていた同士が、仲良く助け合いながら組み立てるのである。
 対象は主に4年生以上で、机と椅子を作るのにおよそ3時間かかった。出来上がった物は、私や従業員が点検して仕上げた。
 この活動は、もともとのスタートはカラマツの活用であった。さらに、ただカラマツを使うのではなく、自分で作った机や椅子への愛着を持ち、大切にし、後輩に残していくことが目的でもあった。私が考えた、教育の一環としての机や椅子の製作は一応成功した。
 この様子は、たちまち県内市町村の小学校で話題になり、県外の各地の学校からも注文が来るようになった。私は各学校にキットを持って行き、まず子どもたちの前で私の幼いころを話し、森林の重要性などを伝えて製作に取り掛かるようにした。
 このようにして納品した机や椅子の数は、市内23校と近隣の学校を合わせて累計8700セットに及んだ。
 ある時、須坂市にあるボランティア団体「にっぽんこどものじゃんぐる」の福永一美代表から連絡があり、会いに行った。
 福永さんは「今、日本では輸入材がよく使われている。身近にある国産材を使わねば日本の森林は荒れるばかり。学校の机や椅子の材料は国産材化を考えている。そのために山や木との関係の深い大工さんや、家具職人の方たちと交流の輪を広げている」ということであった。
                   (聞き書き・佐藤文子=俳人)